肉ばなれ(筋断裂)
激しい運動をしていて、太ももや、ふくらはぎ、などにブチッ筋繊維が切れる音がして痛みが走った場合、肉ばなれをしている可能性があります。ほとんどの場合エコー画像で見ても明らかな断裂が見られることがないのですが、まれに患部が陥凹している場合は、大きな筋断裂であることがあります。陥凹していなくても内部に血腫が見られ、小さな断裂が見られることがあります。
一番頻度が高い体の部位は太ももの裏、ハムストリングといわれる筋で瞬発的な動きをした時に、発生します。よくスポーツで足がつった時と勘違いする時があるのですが、つって痙攣の場合は、その筋肉を伸ばすと痛みが和らぎ、肉ばなれは、筋が断裂しているためその筋を伸ばすと激痛が走ります。完治するまでは断裂の程度にもよりますが、1週間から4週間程度です。
症例 16歳の男子、部活のサッカーでシュートをしようとして、踏み込んだ時、大腿後方にブチッと音がして痛みが走った。10日ほど様子を見たが痛みが改善せず来院。その時の大腿後方部のエコー画像が下の画像です。厳密にいうとハムストリングス筋の外側にある大腿二頭筋の上部が2ケ所ほど断裂(矢印の部分)、皮下から4センチほどの深さに黒く描出されている部分に水腫(血腫)があるのが分かります。
治療 患部に超音波を当て筋繊維の損傷の回復をはかり、手技で筋膜の捻れや癒着をとる。鍼を断裂した水腫に刺し、水腫の吸収を促し痛みを取り除きます。中2日おきで3回の治療を施しました。下のエコー画像は治療開始から1週間後で水腫が小さくなっているのが分かります。ここまで来ると、軽く患部をストレッチしても痛くありません さらにハムストリング筋を強くストレッチしても痛みを感じなくなるまで回復しました。後は少しずつ運動を再開し、ストレッチと筋力強化をはかりスポーツに復帰できます。