ばね指
中年過ぎの女性、手をよく使う中高年の職人さん、高齢者の方に、よくみられる。指の第3関節に炎症を起こしたものをいいます。
指の手の平側の腱とそれを包んでいる腱鞘との間で引っかかりが起きます。指を曲げたまま伸ばすことがしばらくできなかったり、引っかかりが解除される瞬間に痛みが発生することがあります。女性が男性より2.5倍生じやすく、母指に最も多く、中指、薬指と続きます。
下のエコー画像は68歳女性、15年くらい前から中指の第2関節に強固な引っ掛かりを覚えそのまま、治療せずにいました。教科書的には指の第3関節に問題が生じるのですが、画像を見ると第2関節のやや中枢に腱の下に白い塊のようなものが患側と比較しても明らかに見えます。石灰の様な硬い組織が腱の下で腱の動きを妨げ引っかかるという現象を生み出しているのです。これは手術でしか治らないと思いますが、しっかりとした触診とエコーによる画像診断が無ければ、手術はうまく行かない可能性があります。
患側 健側
下の画像も同一人物の中指の第3関節を比較した画像です。画面上の方にある曲線を描いている太い線状のものが腱です。第3関節に引っ掛かりは感じないのですが、黄色矢印の患側での骨の変形、オレンジ矢印の腱の下での軟部組織の肥厚が見られます。通常は、腱の周りにある腱鞘という腱を覆っているトンネルの様な繊維製の組織が肥厚したり、腱自体が太くなり引っ掛かりを起こしてしまいます。上の図のように第2関節で引っ掛かりを起こしていますが、第3関節も少し引っかかる要素を見いだせる画像です。
上記の例では手術しか治らないと思いますが、軽い引っ掛かりであれば腱の腱鞘の癒着を取れば少しは良くなります、でもすぐに再発する可能性が大きいと思います。
手術は私が整形外科に勤務していた時に、数多くのばね指の手術を見学させてもらいました。手術時間は約30分ほどで引っかかっている腱鞘の屋根の部分を切開します。そうすることで、腱の動けるスペースを広げて引っ掛かりが起きないようにすることが可能です。ただ上記の例ですと第3関節の腱鞘を切り開いただけでは改善せず、第2関節の腱の奥にある軟組織を除去しないと引っ掛かりが取れないであろうと予想されます。